虚偽の求人にてビルメンテナンス業界に対する不信感が拭えず、化学系の特定派遣に舞い戻っていた。
しかしながらビルメンテナンス業界から離れて2年弱、派遣社員としてメーカーで働くもろくな目に合わなかった。
激しいパワーハラスメントを受けて派遣先の上層部にその旨を連絡したり、激務なのに中途半端にホワイト企業の真似事をする企業に配属されて業務の多さと残業規制の板挟みに悩まされたりする日々を送っていた。
人生で初めて企業のホットラインにメールを送ったり、退職代行を使ったりと嫌な初体験を色々してしまった。
退職代行を使った直後は正直人生を諦めかけていた。
30代でろくな実務経験もなく、転職回数だけ重ねてしまったからだ。
もうどこも雇ってもらえないだろう…と…
わりと真剣に前の会社のパワハラ上司と無理心中決めてやろうかと思ったほどだ。
まぁ、いざ準備したところで様々な感情が邪魔して実行などできはしないだろうが。
中途半端な誹謗中傷をしてしまって自分の人生がさらに八方塞がりになる未来が見える。
そんな中ではあるが一応気持ちを切り替えてメーカー、プラント関連の製造職に応募しまくった。
高卒以上、未経験可の仕事ではあるが化学系の学部や資格を持っていると有利に働きそうな職場に応募した。
その結果、中小企業や微妙な会社からはお祈りされ続けたが大手子会社3社から内定を頂くことが出来た。
ここへきて自分が持っている危険物取扱者甲種と公害防止管理者水質一種がここまで役立つとは思わなかった。
しかし受かっても行くか微妙な会社からは全部祈られて魅力的な3社からは内定を頂くとはどういうことだろうか。
微妙な企業はガテン系を求めているのに対して大手子会社は現場作業員でもある程度理系の知識や資格を欲してるという感じはあったが。
3社とも今まで私が働いたことのある会社より遥かに待遇が良く、どの会社も入社したいレベルだったがこの中で親会社に派遣社員として働いたことのある企業が存在したため、そこに入社することを決意した。
交代勤務が無く、年間休日が多いということも理由にある。
残り2社への内定辞退のメールを送る事に関して気が重かった。給料的には他2社の方が高いことが想定されることもあって本当に勿体ない。
どうせなら微妙な規模なのに尊大な態度で面接してきた会社に辞退のメールを叩きつけてやりたかったが、そういった企業にはお祈りの屈辱を受けている。
選んだ会社の待遇は年間休日125〜130日、ボーナスは4ヶ月+会社の成績と、新卒入社した会社を除けば今まで派遣や中小企業でしか働いたことがない私に取っては破格の待遇であった。
高卒で新卒入社した会社は中規模企業であり、ボーナスこそ4.2ヶ月程度と多かった。
しかし月給の総支給額が18万円台と非常に安い上にほとんど昇給せず、そこでも嘘求人を食らったせいで希望の部署に入れなかった。
大卒は当然ながらもっと貰えており、昇給額も高い、典型的な学歴重視の会社であった。
それ自体が悪いわけではないが、給料や昇給がここまで分けられているのに大卒と高卒が入り乱れて仕事している部署があるのが色々問題だった。
高卒と大卒の役割がハッキリしているわけではなく、普通に同じ土俵で肩を並べて仕事をしている。
給料と昇給という一番重要な要素以外が平等という意味不明なスタイルだ。
同一労働同一賃金という言葉に対して真っ向から喧嘩を売るスタイルの働かせ方だ。
仕事も全く興味が沸かなくて辛い思い出しかなかった。
私と同じく嘘求人で希望と全く異なる部署に入れられた社員が荒々しく喫煙所で叫んでいたのもあり、環境は非常に悪かった。
そんな会社だから退職に関して恨みはあっても未練は全くなかった。
恨みも未練の一部だろうか…?
その後色々あって学歴ロンダリングを行い、大学卒業後は派遣を転々としていた。
労働環境は様々であったが賃金に関しては年収ベースで言えば高卒労働者時代と同じか、それ以下だった。
今回ようやくまともな企業に入社できる。
ぶっちゃけまともな企業の大卒新卒と同程度の月収なので同世代と比べたら恥ずかしいくらいに低い。
悲しいことにそれでも年収は来年には大幅に上がる。
また、提示された月収に資格手当は含まれていない。
昇給に関係する資格をいくつか所持しているため月収はもう少し上がる。
公害防止管理者のような難易度が高めの資格+αを所持しているため、私の予想では7000円くらい上がるんじゃないかと予想している。
底辺ながらようやく人生が安定しそうな状況が30代になって始まる。
これからどんな生き甲斐を見つければ良いのか色々考えなくてはならない。